このコンテンツでは、保険を扱う職業柄、幅広い業界や経営者とのつながりのある吉田が、その主観的視点から経営に役立つ情報や経済を解説します。
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SDGsへの取り組み方針を定め、持続可能な開発目標の実現・達成に向けた具体的な行動計画を宣言する、「SDGs宣言」を行う企業が増えました。
バッヂをつけたり、会社ホームページ社にロゴを掲載したりして、社会や環境についての取り組みを行っている企業であることをアピールしています。
もしかしたらあなたの会社も、そういった企業のひとつかもしれません。
ただこのSDGs宣言、流行だからとか、やっておいたほうがよさそうだからという漠然とした理由でなんとなく実施した企業が多いのも事実です。
そういった企業を見ていると、理解を深めることなく放置し、そのうちお客様からの信頼を失う結果になるのではないかと、他人事ながら心配になることも。
そこで今回は初めてSDGsに取り組む企業のために、まずは何から行えばいいのかを考えました。
多くの企業やその従業員は、SDGsを理解していない
とある製造業の会社に勤める若手社員から、「自社がSDGs宣言をしたが、実態が伴っていない。このまま放置してよいのだろうか」という相談を受けました。
話を聞いてみると一年ほど前に取引先の銀行から説明を受け、やっておいた方がよいと社長が判断して取り組みを実施したとのこと。
とはいえ詳しいことを知っているのは社長のみで、会社には入り口の受付カウンターの上に、「SDGs宣言」とその内容が書かれた紙が、アクリルスタンドに入れられて設置してあるだけだといいます。
業務には何の変化もなく、朝礼や会議の場でも話はなかったそう。
誰も疑問に思っているような雰囲気ではないそうですが、私に相談をしてきた若手社員は、「自分の会社もよくある”なんちゃってSDGs”なのかと思うと恥ずかしいし、そのうちお客様から突っ込まれるのではないかと不安だ」と話しています。
私はこの話を聞いて、どうすれば企業は全社を挙げてSDGsに取り組むことができるのかを考えました。
今後はSDGs宣言によって取引先が変わっていく
SDGsを会社全体で理解するにはまず、自社が行ったSDGs宣言がどのようなものかを知っておく必要があります。
そもそもSDGsには、軽い順から「取り組んでいると自称している・宣言をしている・ISOなどの認証を取っている・公的機関から認められている」という4つの段階があり、宣言までの段階なら、さほど難しい審査はありません。
それでもなぜ企業がわざわざ宣言を行うかというと、SDGs宣言を行うことで融資や補助金が採択されやすくなるといったメリットがあるから。
多くの企業がこぞって宣言を行った背景には、SDGsを浸透させるために政府が行った施策があります。
ただ今後は、実際にSDGsに本気で取り組んだ企業とそうでない企業との間には、取引に変化が起こります。
つまり製造業であれば、SDGs宣言をした以上、SDGsに配慮した材料を使って製品を作らざるを得なくなるため、必然的にSDGs宣言をしている企業としか取引を行わなくなるのです。
大手企業にはすでにその流れがきており、SDGs宣言をすることをお客様や元請から指示されたという会社もあるかもしれません。
自社で取り組むべきSDGsとは
前章では今後、SDGsの観点で商品やサービスを作っていかなければ、他社との安定した取引は難しくなっていくとお伝えしました。
つまりSDGs宣言をした以上は、SDGsの観点に基づいた商品開発をしなければならないのですが、そのためにはまず開発に携わる人自らSDGsを体感し、マインドを変えていく必要があります。
もし私が自社で実施するなら、まずは簡単で理解しやすい取り組みとして「水筒持参キャンペーン」を行います。
ペットボトルの飲料を買うのをやめて、自宅で水筒に好きな飲み物を入れてくるだけなのですが、実はこれ、表面的に見えている以上のSDGs的な意義を持っています。
まずペットボトルの原料であるプラスチックごみの削減はわかりやすい一面ですが、保冷・保温であれば、飲むときに冷やしたり温めたりするための電気、そして何よりも、工場から店舗や自販機にドリンクを運ぶまでのガソリン、重いものを運ぶ人的コスト、運搬用のトラックから排出される排気ガスなど、多くの不要なものが削減されています。
洗っても数日から数週間程度しか使えないペットボトルに対し、手入れすれば何年も使える水筒は、「持続可能」な商品であることもポイントです。
これらが全て水筒一本で実現できることを知るだけでも、SDGsに関わる商品について考えるきっかけになるでしょう。
「自分たちの行動の何が社会や環境を守る活動につながるのか」を理解してはじめて、自社の商品のあり方を考えられるようになるのです。
なんちゃってSDGsに違和感を覚えるのは、「ペーパーレスがいいから紙はダメ」と、その中間工程を理解することなくトレンドに便乗しているから。
そのマインドでは自社がSDGsを達成することはできません。
水筒もそうですが、きっかけとなる取り組みは非常に身近で簡単なところにあります。
まずは社会や環境にとって「良さそう」なことをやってみる。
そしてその行動が及ぼす効果や意義について考える。
それだけであなたの会社のSDGs宣言は、本物に一歩近づきます。
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